人生

やっていきましょう

277日目

スマブラのオンラインを何度かプレーしていて違和感を覚えたことがある。4人対戦になるとどうも自分ばかりが攻撃を受けているような気がしてならないのだ。これは僻みからくる被害妄想ではない。事実、不特定多数の人間から同じような扱いを受けている。

自分が狙われやすい理由を考えたところ、まず自分のキャラクターの当たりやすさに目が行った。自分は重量級のファイターを好んで使っている。重量級は単発の火力が大きいものの、ひとつひとつの動作が鈍く、また体格の大きさから容易に攻撃を受けやすい。そのため他の軽量級がかわせるような攻撃でも、ダメージを受けてしまうということだ。もっともらしい答えだ。

だがそれだけではない。ファイターの性質というよりも、むしろ自分のプレーのやり方に問題があるように思う。結論から言えば「場を乱そうとする衝動に駆られる」、そのことが自分が狙われる理由になっている。

通常のプレーにおいて、ファイターは互いに自分の攻撃可能範囲を守ろうとする。敵が攻めた時には瞬時に退き、敵が退いたときには瞬時に攻められるように、安全圏を確保しながらスムーズに次の動作を繋げられるように振舞っている。

これがフィールドで起こるとどうなるかというと、自分と相手の距離が常に一定の間隔で開くようになる。珍しいことではない。相手の動作が読めない以上、一定の間隔をあけてプレーするのは当然だ。

これは1vs1の場合に限らず、4人対戦の場合でもそうなりやすい。たとえば平地に4人のファイターA,B,C,Dがそれぞれ順序に従って等間隔に置かれていたとき、直近の敵を倒そうとしてAvsBとCvsDの2グループで戦うことになる。この組み合わせが相手が吹っ飛び、自分が吹っ飛ばされることで一時的に入れ替わることがあるが、しばらくするとまた2つのグループで安定して戦うことになる。

自分はこの奇妙な安定に不満を覚える。自分がAならばCとDは互いの攻防を読み合うことしかできていないのだから、そこに思いっきり高火力の技を突撃させた方がいいだろうと感じる。その方が面白いし、事実それは何度も当たる。だがそれこそ自分が狙われやすい原因であると自分は気づいていなかった。

自分はとにかく目の前の相手以上に、どうしたら向こう岸のグループを混乱に陥れるかを考えてきた。それも1人だけでなく2人、場合によっては3人を巻き添えにできる技を自分は持っている。だから全体的に見れば自分は場の安定を乱す迷惑なプレイヤーとして映っただろう。

自分がもしも相手の立場だったらどうか。いつ誰を攻めてくるか分からないファイターと、攻めてくると分かって距離感を保っているファイター、どちらを先に処理したいだろうか。熟練したプレイヤーであれば、当然予測不可能な相手を先に始末した方が楽だと考える。

あるいは敵の意表を突く高火力の技が、隙だらけで予測可能なものだったらどうだろうか。相手が遠くから飛んできて、自分の攻撃可能範囲に着地してきた。着地して尚モーションはまだ終わらない。今まで目の前で戦ってきた相手は依然距離感を保っている。今この瞬間は飛んできた相手の方が自分に近い。自分は素早く攻撃する余裕がある。だから攻撃する。

このように相手の射程圏にわざわざ突撃して全員を巻き込む技を使い続けるのが自分だ。その結果隣接した2プレイヤー、場合によっては3人から警戒され、瞬間的に総叩きに遭うのだ。そのダメージの蓄積が最終的には死にやすさに繋がっている。こうしたプレーをせずに目の前の相手だけを対処していればこうはならない。だがそれではつまらないと感じてしまう。

この考え方は危険だ。死にやすい戦法ばかりを選んでいれば死ぬのは当然だ。それに満足できていればいいが、不満はしっかり募っている。勝つために自分を生かすということをまるで考えていない。後先考えずに特攻して、毎回不要な傷を負ったことを後悔する。

傷つきたくないのであれば自分を守らなければならない。勝ちたければ攻め方を考えなければならない。これはゲームばかりではない。自分が生きていくために当然身に着けておかなければならない態度だ。自分はこの自暴自棄な特攻ゆえに多くの不要な傷を現実で受けている。自分の忍耐がもつ内はいいが、いつか倒れたとき、自分には自分の浅はかさに対する恨みと憎しみ以外残らないのではないか。