人生

やっていきましょう

577日目

第二章の終盤の展開を大幅に修正することにした。具体的には10日ほど前に言及した2の部分を削除し、以後その前提で進んでいた後半のストーリーを修正することにした。

2は自分が5年程前から検討していた重要な部分だった。確かにこの部分があることによってゲームの展開が多少面白くなるということは否定できない。だがこの部分があることによって、主人公たちが次のステージに向かう動機が2つに分裂してしまう。

つまり、自分たちには本来Aの目的があって、そのために冒険していたのに、途中でBの目的が生じてしまい、その目的地がAと同じ方面にあるから、Aも達成するしBも達成しよう、という流れになってしまっている。

こういう演出をすると、どっちが目的として重要なのかわからなくなってしまう。実際はAの方が重要であるということが分かっているが、じゃあBは余計なのかと言われれば、確かに余計だと思ってしまう。現実的に考えればBは諦めて、Aに専念しようとなる。だがそれでも主人公はBを諦めたくないという話になって、結局主人公の都合のためにBを達成し、そしてそのまま本来の目的であるAに向かおうという折衷的なストーリーになってしまう。

ここで問題なのは、ゲームの本筋として既に設定してある「ラスボスを倒す」という目標Aを王様や自分の仲間、あるいは自分自身との間で合意しているはずなのに、突発的に生じたアクシデントによって生まれてしまった目標Bを、主人公が主張し始めるという点にある。これらは互いに反発せず、どちらも第三章以降のステージに向かう強い動機となり得るが、主人公が目標をAからBに優先度を切り替えるということには、どうにも違和感を覚えてしまう。

主人公が初めから目標Bを持っていて、しかし多くの人間は目標Aを期待しているという状況ならば話は分かる。そうであれば、この齟齬は物語として生きてくる。だが自分の作った話では、主人公は目標Aを持つに至った経緯や決意を演出しておきながら、2で生じたアクシデントによって、いつのまにか目標Bにすり替わってしまっている。だから話に一貫性がなく、2章終盤の展開がどう取り繕っても曖昧でよくわからないものになってしまっている。

主人公の中で目標Aが最優先事項としてあり、アクシデントによって生じた目標Bは可能であればするという態度を維持できているのであれば一貫性はある。だがそのような態度を貫けるほど主人公は大人ではない。

結局2は外してしまった方が良いという考えに至った。1の見せ場を1から分離せず、そのまま1→3→4とした方がゲームとして一貫性がある。

前からこの問題については気付いていたが、2の部分がある前提で後のストーリーが展開されているという問題があった。この部分に一貫性を持たせようとすれば、後の部分も大幅に修正しなければならない。それがかなりの手間で、どうにか簡単に済ませられないかと考えていた。

だが実際のところ、2の部分に触れている文章は、実は思った以上に少ない。2の出来事が直接関与してくる章は4章と5章だが、4は少し触る程度であり、5も終盤で触れてあっさり終わるという話でしかない。だから修正自体は可能であると自分は踏んだ。

仮にこの部分を削除したことによって今後のストーリーがどうなるのかを想像してみた。すると自分が思い悩んでいた部分のほとんどが解決できることに気づいた。とくに第五章の終盤を第六章とどうつなげるかまったく見えなかったが、2を消したことで純粋に目標Aに誘導すれば良いだけの話になり、2章以降のすべての章の間に明確な一貫性が生まれることになった。

自分はこの問題について長く考えることもできた。おそらく何度も修正していくことで異なる2つの目標をうまく統合できるストーリーが生まれるかもしれない。だがそれにはおそらく1年以上かかると思われる。自分はもうこのゲームの開発に翻弄されるのが嫌で、とにかく早く完成させたい。そのために実現不可能な部分は切り捨て、可能な部分を生かすことにした。

この部分を切り捨てることには相当の勇気を必要とした。だが時には不都合な部分を切り捨て別のものを生かすという選択が有効であるということもある。今回の場合がそれだ。話をややこしくする要素は思い切って切り捨てて、一貫性を持たせられるようにしたい。