人生

やっていきましょう

843日目

ギミックを作っていると、初めから完成像が見えているということはほとんどなく、大体何をどうしたら良いか分からないまま試行錯誤を繰り返しているうちに何らかの形ができていて、それらを取捨選択していく過程で偶然的に完成してしまっているということが多い。

こうした思考でギミックを作っていると常に不安に襲われることになる。自分が迷路に迷い込んで、一度通った道にパン屑を撒きながら虱潰しに分岐をひとつひとつ潰しているような気分になる。全体像は見えないが細部は見えているという状態だ。本当に完成するのか分からないまま延々と時間が過ぎ、ある時ふとなぜか完成してしまうという偶然に直面して、目指すべきゴールが自分に見えてこないこと、自分で定められないことに対して苛立ちを覚える。

少なくとも自分の主観の中には存在しないアイデアを捻出するためには、こうした偶然に頼った異質な連想を必要とする。それは自分の中でもかなり古くから存在する手慣れたやり方であるが、しかし成果が安定しないということに致命的な弱みを抱えている。

完成を大前提とするならば元より冒険などすべきでなく、予めネットに用意されたギミックの作り方をそのまま真似して再現すれば良い。そうすることで既存の発想法で無駄にかかっていた時間を短縮できる。しかしそれでは自分が納得しない。

自分がなすべきことは、連想の拡散に制限を設けることである。つまり必要最低限の目標を設定し、その目標から逸脱したものはアイデアとして採用しないと予め決めるということだ。そうすることで、自分が何をすべきか分からなくなった時に戻れる指標を得ることになる。

これはそう簡単にできるものではない。自分の中で何をすべきか分かっていないうちから、自由な連想の欲求に反して、その曖昧さを自分の中で理解できる範囲で定義し直さなければならない。

しかし気まぐれな天啓に左右されるのを恐れ、自分の手元に僅かにでも制御可能なものを得ようとするならばこうする他にない。自分はこの偶然に身を委ねたために5年も開発が遅れているということを忘れてはならない。