人生

やっていきましょう

973日目

自分が自らの意思を確立できないのは、徹底的な自己不信と、他者に対する根源的な恐怖心に由来する。他人を恐れるあまり自分が信じられなくなり、自分の価値観を放棄してしまった。そして今、自分は何も持っていない。

この世に生きる人間はさまざまな価値観を有している。その価値観を有する限り、それに合う人間も合わない人間もいる。合う人間は勝手に合えばいい。問題は合わない人間だ。自分は価値観の衝突が生まれたときに必ず自身の価値観を否定、あるいは妥協して対立を乗り越えてきた。価値観を巡る闘争以上に宥和を望んだ。

しかし今思えば、自分はある程度自らの価値観を賭して闘うべきだった。自分を確立した人間というのは、守るべき自分像を持っている。それを害そうとする人間に対抗する強さを持っている。価値観を巡る戦いの中で彼らは洗練され、自他の適切な距離感を確立するに至った。

自分はどうかといえば、誰とも争わないためにその火種となる自らの都合、自らの価値観を徹底的に放棄した。その結果自分は失われ、すべてに意味が感じられなくなり虚無に落ちた。誰とも争わず、誰とも敵対せず、誰も不快にさせないためには、誰とも利害の被らない完全なる中立を目指す必要があった。

万人に宥和を図る自分は虚弱そのものだ。自分の意思を確立するために戦ってこなかった結果がこれだ。相手に悪く思われることを恐れ、自分本来の価値観を表現することができなかったために、自分は自分を確立することができなかった。