人生

やっていきましょう

1078日目

かつて悪ぶってバカをやっていた時期があった。思慮深く善人の振る舞いをすることに限界を感じた反動で、思ったことはなんでも言う、威圧的な態度でいる、難しいことは考えず短絡的な発想でいるということを繰り返していた。

そういう時期に得た交友というのは、自然と似た者ばかりになった。当時はそんな人間しか周りにいなかったので、ハメを外しても自制をする必要がなかった(一度そのことで古い友人を傷つけてしまったことがある。彼は良識のある良い友人だった)。

はじめのうちはそれで良かった。しかし段々と違和感を覚えてきた。自分が彼らに期待していたのは敢えてバカをやるという態度だった。バカをやるときはバカをやるが、ちゃんと良識を弁え、正常な判断を有しているという前提が欲しかった。

しかし自分がかつて関わってきた人間は、そもそも良識というものが存在しなかった。バカをやってはいるが、敢えてではなく本心からバカをやっているのだった。

現実でもネットでも似たような結果に終わったことがある。そしてそれらはいつもすれ違いで終わる。バカをやることが選択肢のひとつである自分と、バカをやるだけの人間、動機は近いが微妙にズレている。

良くも悪くも自分は良いところの坊ちゃんで、彼らの文化に馴染める土壌を持っていなかった。反動から良識を捨てようとしていたが、結局はその良識に居心地の良さを感じていた。

それでもう悪ぶるのをやめた。随分と前のことだが、今でもそれで良かったと思う。自分が絶対正しいとは思っていない。彼らを低く見るつもりもない。ただ文化が違う、それだけだ。

バカをやることそれ自体は嫌いではない。自分は根本的にバカを求めている。しかしそれは、敢えて悪く言えばNHKが悪ぶって攻めた番組を作ろうとするそれと近いものだ。実際はもう少しグレーに自分は踏み込んでいるが、一線は絶対超えないという点では近いものを感じる(それゆえNHKには失望と好感を同時に抱くのだ)。

だから悪友から見れば自分はヘタレだとか、半端な人間として映るかもしれない。しかしそれで良いと思う。それぞれがそれぞれの道を行けば良い。