人生

やっていきましょう

創作が前進した。今まで数か月も停滞していたが、ひとつのひらめきですべてが解決した。

つまりこういうことだ。自分はゲームを作っている。そのストーリーの進行のためにちょっとしたワンシーンを入れている。そのワンシーンがお粗末なのはともかく、自分がそこに感じていた違和感はその質というよりは長さの方だった。

映画のようなワンシーンでプレイヤーを引き込むというスタンスのクリエイターならば、むしろその時間を長くとるべきだろう。だが自分は違う。魅せる技術もなければ動機もない。低予算のクソゲーを「適当な」雰囲気で作るというのが自分のスタンスだ。

明らかに自分はワンシーンを長くとりすぎている。それも奇想天外で予測のつかない展開というよりは、ストーリーを前進させるために淡々と作っているただの説明だ。長い説明はつまらない。だからメリハリを持たせることが重要だった。

自分が施した工夫は2つ、情報を省くことと、言葉のやりとりに動きを持たせることだった。

説明が長くなるのは情報量が多いからだ。したがって無駄な情報を省きスピード感のあるやり取りにした。この省略は難しい課題だった。というのもその場には3つの異なる陣営が相対し、互いの思惑のもと次の決断を下すというシーンだからだ。三すくみというのは、一歩間違えれば2対1の状況を作られる。だから様々な人間たちの思惑を描いていると長ったらしくなってしまう。

そういう場面があっていいだろうが、自分はその過程を色々詰め込みすぎてしまった。まず大きなイベント演出が入り、主人公が行動可能状態になって先に進む。次に目的地に着いたらまた大きなイベント演出が入り、中ボス戦になる。それが終わるとまた大きなイベント演出が入り、幕を閉じる。

その間説明がずっと続く。これは作った側から見てもつまらないものだった。なぜかというと、説明が中ボス戦を覆い隠してしまっているからだ。ゲームとしてはまさにこの中ボス戦が主題となる。しかし思惑の説明に時間を費やすあまり、中ボス戦がおまけのようになってしまっている。自分の感じていた違和感はこれだった。

だからできるだけ互いの陣営の思惑を説明する描写を省き、ひとつの陣営が隠し持っていたモンスターの演出を中心に生かすような展開に作り替えた。するとこれまで本当につまらなかった展開が嘘のように息を吹き返し、最低限楽しめるようなストーリーに生まれ変わった。

更にここで中ボス戦を特殊なイベント戦に作り替えるアイデアを思い付いた。普通のボス戦にしても構わなかったが、この中ボスに印章を持たせるためには恰好のアイデアだった。ここで気づいたのだが、自分は文章の説明に力を入れすぎていた。しかし作品の面白さというのは何もそれに限った話ではなく、変な名前を持ったボスであったり、おかしな効果音であったり、舞台背景の違和感を強調したり、それらを雑に扱って笑いを取ったり、要するにもっと自由で多様なものを対象にして良いものだった。

すべてを言葉で説明し尽そうとするから、自分のゲームは説明的になり、展開が動かない地味でつまらないものとなる。確かに基本はそれでいいかもしれないが、自分が面白さを追求しようと思うなら、もっと別の視点をゲームに取り入れた方が良いと思った。