人生

やっていきましょう

誰かが悪口や茶化しをいれた時に言われた側が反論する。するとその返しに必死であるとか、効いてる効いてるだとか、早口で言ってそうだと言う。ネットでよく見かける光景だ。

意見交換や理解の調整を目的とした議論であるならば、互いの価値観や信念の相違に対して敬意を払い、極力相手の人格を損うようなことはしないようにするというのが礼儀である。

しかし口喧嘩となると互いを引き裂く方向に敢えて舵を切る。合理的か自己批判的であるか以上に、クリティカルな暴言が吐けるかどうかが重視される。

例えば議論では印象論は避けるべきだということがよく言われる。このような印象を抱いたからこう思うというのはあくまでも個人の内面で完結していることであり、それが運良く共感されたとしても、他人が常にそうだとは言えないからだ。

しかし口喧嘩となると、相手が普段から気にしていることを見つけ出して劣等感を刺激するような悪口が評価される。この場合客観的な事実の指摘のみならず、主観的な印象を敢えて突きつけることも有効となる。

こうした悪口に遭遇した場合、どのように対処するのが適切と言えるか。

まずそもそも目的が一致しない人間とは話さないことである。口喧嘩を動機としている人間に建設的な議論を持ちかけることは無駄でしかない。相手は人格否定の材料や粗探しに奔走するので、議論を持ちかけた側が不当に罵倒されることになる。よって目的の違いを見抜いた時は早々に話をやめる。

とはいえ、この対処には注意がいる。他人の悪意のみを指標に聞くに値するかどうかを判断していたら、自分の耳は聞こえの良い言葉しか受け付けなくなり、自分を修正する機会を失う。罵倒にも人間の不注意から出た咄嗟のものがあり、一方で人格否定を目的としたものでありながらも、その言葉に宿る事実には耳を傾ける価値のあるものもある。

重要なのは、相手の話に耳を傾けて互いに目的が一致しているかを確認することだ。この理解を誤魔化してはならない。一致していなければ相手の言い分から参考にすべき要素を取り出して早々に去る。これに対して逃げだと言われても無視する。