人生

やっていきましょう

自分は面白い人間であろうと努めた。それは自分の本性であり、面白いものに対してはいつだって自分の心が開かれていた。面白さを追求している時の自分が一番自分らしいとよく感じる。自分で抑圧して気づきにくかったが、自分は面白さを好む人間なのだ。

一方で硬直した自分がいる。異なる他者を前にして無力な自分。自分の素朴な感情を否定し、苦痛な環境との同化を強いた自分。その結果一切の思考が繋がらなくなり、何も話せなくなる。

このふたつの自己がいま自分の中に併存している。そのことを考えると自分という人間が分からなくなる。自分のお笑い好きという傾向から率直な笑いが出てくる。それは直感的で、自分もなんとなくそれが面白いと思う。しかしこの笑いが、硬直した自分によって違和感のあるものへと変貌する。自分は何か面白いことをしようとしているが、それはおおむね歓迎されるものではないという自覚が、自身の笑いを途絶させる。

芸人を見ると身振り手振りや話し方が相手を面白がらせようとしているというシグナルで溢れていることに気がつく。しかし自分の場合、相手を面白がらせようとしていながら、他方でそのお笑いを相手に伝達しようとする身振りをまったくしていない。表情は硬く、目が泳ぎ、息が上がっている。おそらく相手にその面白さを伝えるという動機すらそこにはないのではないか。