人生

やっていきましょう

250Lvに到達した。9月から3月にかけて約半年だった。

ここまでの道のりは長かった。たった半年だが、自分には10年のように感じられた。当時自分はまだ155レベルだった。サービスが終了するまで狩りはしないつもりでいた。しかしたまたま古参として興味を惹く復興イベントがあったことと、その傍らでApexに対する尋常でないストレスが蓄積されていたことが、このMMORPGを復帰する直接的なきっかけとなった。

初めはほんの小さなミスだった。復興イベントで配布されたアイテム(ふしぎなアメのようなもの)を使ってレベルを1あげようとしたら、レベルがなんと10上がってしまった。想定外だった。昔の記憶に囚われていたのでこんなにあっさりと上がってしまうことに驚いた。しかしこれだけレベル上げが簡単ならば、もっと上げることができるのではないかと思った。そこで自分は復帰した。数週間後、自分はレベル200になった。

200Lvになって新天地に来たとき、この時自分は目標を設定した。レベルを250にすること、新天地のデイリークエストで強化し続ける装備アイテム6つを最大まで強化すること。そしてその過程で昔からやってきたこのゲームの今を余すところなく吸収すること。そうした動機が自然と芽生えてきて、自分はこのゲームに乗り出した。

実をいうと自分の旅は少し有利なところから始まっていた。7年前の装備が最終装備として未だに現役で使えるという環境だった。250lvになった今でもその装備を使っている。その装備に付与された能力が強かった。これはゲームで狩りから完全に離れていた自分が、年末のログインイベントだけは毎年律儀にこなして得た産物である。だから初めてプレーする新規ユーザーよりはアドが取れていた。

また古い知り合いが多少のアイテムを分けてくれたり、装備購入に必要なコイン集めを手伝ってくれたりした。自分が頼んだわけではなかったが、向こうも自分の復帰に対して思うところがあったらしい。自分は彼らの親切を素直に受け取った。改めてここで感謝したい。

しかし自分はそれらを元に通常とはまったく逆の方向に進んだ。自分の装備は100台後半にしては潤沢だった。これで何ができるかというと、本来200lvを超えないと倒せないようなボスが180や190の段階で倒せるようになっていた。当然20分以上はかかることになるがそれでも自分には十分楽しめた。通常ならばボスのギミックなど関係なく圧倒的な火力で瞬殺されてしまうようなボスだったが、火力が少ないことでボスのギミックと向き合わなければならない時間が増えた。おそらく瞬殺に慣れてしまっている現行プレイヤーには苦行だろうが、自分にとって初めて対面したボスがこのレベルなので、ギミック攻略も苦ではなかった。

こんなことをしているうちに自分の中でもう一つの目標ができた。それがボス討伐である。無課金勢にとって現実的な討伐目標であるボス2体を一人で倒すこと。そこまでこのゲームをやり込もうと決めた。今にして思えば狩りをしてレベルを250にするだけなら難易度はかなり低い。継続して時間をかければ良いだけだからだ。しかしボス討伐となると話が変わってくる。装備の強化を考えてしっかりとやらないと、ボス討伐の要求火力が足りなくなる。何時間もかけて倒せばいいと思うかもしれないが、ボスはいずれも30分という制限時間があり、その中で倒し切れるほどの火力は最低限持っていないといけない。いずれにせよ火力を底上げすることが求められる。

レベル上げと同時にボス狩りも順調に進んだ。200Lvの段階では倒せるボスの数は少なかったが、色々と換装して強化していく中で段々と倒せるようになり、ついには目標の一歩手前まで来た。

ここで少し停滞することになる。ボスのギミックが明らかに難しくなった。理不尽なボス2体(明らかな欠陥)を除けばこれまで単純なギミックばかりだったが、このあたりから十分理解しなければ対処できないギミックが出てくるようになる。どのような技があり、その技にはどのような対処が有効かということをひとつひとつ頭に叩き込む。そうして初めて生存時間が長くなっていく。

生存時間が長くなるということはそのまま火力に直結する。というのも、自分の職業は無数のバフを一気にかけて短時間で莫大な火力を叩き出し、バフが切れたら無防備になるから死なないように立ち回るというものだからだ。バフが切れた状態ではまだいいが、バフがかかっている時に死ぬのは避ける必要がある。ここで倒れると時間の大幅なロスとなり、制限時間に間に合わなくなってしまう。また自分の職業は防御力が異常に低く、気がつくとすぐに死んでしまう。だから生き残るためにはギミックの完全理解が必要だった。

色々試行錯誤をした挙句、ようやく230Lvと231Lvで目標のボス2体を倒すことができた。ここまで来るのに3か月かかった。しかしまだ目標となるレベルが20も残っている。

ここで更に上位のボスを目標にしようと考えた。とはいっても、この2体のボスの上には3体しかいない。1体はネタのようなボスで硬いだけだからとりあえず置いておくとして、残り2体のボスに自分は興味を持った。

これらのボスは実質無課金の最終目標であると個人的に思っている。これより上のボスは要求火力が高すぎるので課金をする必要が出てくる。無課金でもできないことはないだろうが、自分よりずっと前に初めていた知り合いの260lvがソロで倒せないと言っていたので、かなりやり込まなければ到達できないだろう。自分はそこまでやる気はないし、何よりその前に他の目標が達成されるので自分の最終目標はここだと納得して思えた。

これらはどういったボスなのか。一方のボスはやや理不尽なボスである。職業によってはまったく回避できず理不尽に死ぬ技がいくつもある。不定期に画面の端からドラゴンが現れ、反対方向に向けて全体攻撃のブレスを発射してくる。これに触れると即死する。

これを回避する手段はドラゴンの腹の下にもぐるか、空中にある僅かな隙間でしばらく浮き続けることである。しかしドラゴンがどちらの側から来るのか直前まで分からないうえ、道中の無数のゴーレムに物理判定があり倒さなければ通れないようになっているので、目視してから移動するでは間に合わない。結局一方に当たりをつけておいて、外れたら空中に浮くというのがセオリーになる。

しかし空中に浮くというスキルを自分は持っていない。後付けで購入できるスキルをわざわざ揃える必要がある。これがなかなか難しい。空中に浮くスキルではあるが、浮いていられる時間に制限がある。ドラゴンがブレスを吐くまで7秒ある。ドラゴンの吐くブレスは2.3秒ほど持続する。画面内にドラゴンがいればタイミングを合わせられるが、画面端が見えない位置でドラゴンが現れると完全に勘で合わせる必要がある。

しかも空中に浮いている間、このボスはテレポートを使うことがある。技が発動されると自分のキャラクターがランダムな位置に瞬間移動する。当然そこにはドラゴンのブレスがまだ発動している。それで意味も分からず死んでしまう。

理不尽な技は他にもある。ボスが不定期にキャラクターに爆弾をしかけるが、この爆弾が爆発すると9割以上削られる。大抵は即死する。これを回避する方法はPTとソロで異なるが、ソロの場合は画面のどこかに唐突に現れる解除場所まで移動する必要がある。しかし先ほど述べたようにボスの周りには無数のゴーレムがいて、このゴーレム一体を倒すのに最低でも数秒はかかるので死ぬときは死ぬ。そうなった時の回避方法は無敵スキルでしのぐ他にない。職業によっては無敵スキルが存在しない。そして自分の職業には無敵スキルが無い。どうしようもない。幸い自分には無敵スキルを追加する装備を一つ持っていたから助かった。これがなかったら諦めていたかもしれない。このアイテムを手に入るクエストは11月の頭で削除された。自分に対して絶対取った方が良いと進言してくれた知人には感謝しかない(交換不可だからあとで人から買うこともできない)。

こうした技をひとつひとつ乗り越えてようやくHPを0にすると第二段階が始まる。これもまた理不尽である。確かに即死技や回避不能な技はない。その点でこのボスの要は第一段階だと言える。しかし第二段階は空中を飛び回りとにかく攻撃が当たらない。火力は十分足りているのに攻撃できる機会が少ないものだからHPは全く減らない。その間制限時間は刻刻と失われていく。事実自分はタイムオーバーで何度も死んでいる。本当に心が折れそうだった。

それでも数週間前にようやく倒すことができた。前の2体のボスから3か月かかった。要求火力は当時の2倍以上だった。言い換えれば2倍もなければ倒せないということだ。この時のレベルは247である。それだけ厳しいものがある。この時のステータスに加えて、さらにイベントで手に入る期間限定の恒常バフによる強化がなければ倒せなかった。しかしまだこの上に1体ボスがいる。

このボスのギミックはトップクラスの難度を誇る。これから先廃人クラスのボスを討伐していくなら、当然これくらいのギミックは対処できなければならない。しかしその難しさは初見ではまず不可能と言っていいだろう。

このボスの最大の難点は、ギミック攻略に失敗するとHPが減らなくなり、一定時間足止めを食らうところにある。これはソロでもそうだし、特にPTでは痛手となる。自分が成功しても、誰かひとりでも死んでしまえば味方全員が待たされることになる。こうしたギミックが種類を変えて第一段階、第二段階とある。初心者泣かせである。

だからこのボスにそもそも行こうという発想が生まれてこない。行けるのはギミックを理解した中級者以上であり、募集をかけても「ギミックが分かる人」と注意書きを念押しされる。それに尻込みして初心者は迂闊に近づけない。

しかし自分は、このボスを死んで覚えるゲームだと思っている。ダークソウルやSEKIROのように、何度も死んでパターンを覚えて対処できるようにする。だから自分は野良でこのボスの練習を募集にかけたりする。大抵は大型ギルドの囲いが連れて行って初心者を育てるのだろうが、ギルドに属さないソロプレイヤーもこのゲームには多く存在する。そういう人たちが集まって死にながら練習するという機会があまりに少ない(野良募といえば、知らない相手とギスギスして互いのミスを責め合うことになるんじゃないかと不安になる人が多いと思う)。だから自分が募集をかけて練習という名目で積極的にPTで討伐に行く。今度の記事で書くが、このPT狩りが本当に面白い。

何度も練習してPTならこのボスを倒せるというレベルにはなった。ギミックも9割ほど理解して第三段階まではソロで行くことができた。討伐も間近だと思う。だが第三段階のギミックが、ソロでは対処不能なほどに厳しい。画面の行動範囲がだんだんと狭くなって、最後にはほとんどスキルも出せない状況になるのだが、この間に範囲の収縮をせき止めながらボスのHPを削り切る必要がある。

自分が考えられるだけのバフをありったけかけて、1度も死なないで第三段階に本気で挑んだ時の結果が6割削りである。時間はある。ギミックは攻略できる。あと一歩火力が足りない。そこで自分は火力の底上げを考えている。

そうこうしているうちに250Lvに到達した。デイリークエストの強化アイテムもあと数か月で終わる。残すボスはこの1体だけ。いよいよ終盤だと思う。

ここで目標を少し修正した。250Lvでストーリーが終わると思っていたが、終わるのは255だった。だから255Lvまではやろうと思う。どうせボスをクリアするまでにはそれくらいはかかる。