人生

やっていきましょう

12日目

今日は映画を見た。7人の侍という古い映画だ。有名な映画だったが今まで見る機会がなかったのでせっかくだから見ることにした。200分の映画だった。

とても面白い映画だった。侍をスカウトするパート、村を改造し農民を訓練するパート、戦闘が始まり野武士をじわじわと追い詰めていくパート、どれをとっても満足だった。人物も良かった。7人の侍はみな個性的だった。そのうち三船敏郎演じる菊千代という侍が面白かった。とにかく面白い。発狂して、飛び回って、大声出して喚き散らしていた。頭がおかしいとしか思えない面白さだった。だからシリアスなシーンでも菊千代が出るたびに笑ってしまった。菊千代が過去を振り返り怒りで顔を歪ませるシーンでも笑ってしまった。菊千代がうなだれているシーンでも笑ってしまった。とにかく菊千代が出るたびに笑ってしまった。まるで野獣先輩だ。野獣先輩は何をどうしても面白いしふざけてるし滑稽だ。菊千代はピエロだ。ピエロはいつも面白い。ピエロの背後に霞む暗い過去や挫折や哀しみが見えなくなるくらい滑稽だ。ピエロは子どもたちの人気者だ。事実子どもたちに人気だったのは菊千代だった。自分がニコニコ動画で野獣先輩にゲラゲラ笑うように、村の子どもたちも菊千代を見てゲラゲラ笑っていた。(要するに自分の精神もまだ子どもなのだ)。

また農民の描写が面白かった。農民は力を持たず、土地から動けず、野盗の襲撃にいつもビクビクしている。強い者には頭を下げて、土下座して、怖がりで、すぐ逃げ回る。しかし裏ではコソコソして、落ち武者狩りで得た武器装備や酒や食糧といった十分な財産を隠し持ち、決してそれを人前では出そうとしない。戦時優勢になるとみれば捕虜の命乞いなど目にもくれず群れて怒りを爆発させて竹槍で捕虜を惨殺する。彼らは自分より弱い立場の人間にはどこまでも残酷になれるのだ。侍には簡単に頭を下げるくせに実の娘には暴力を振るう。落ち武者狩りだって平気でする。こういう農民の明暗が映画に奥行きを持たせている。それだけ弱者の人間性を鋭く描いている。

弱者の心理に興味を惹かれたのは、やはり自分にも思い当たる節があるからだろう。自分も現実ではどこか彼らのように振る舞っているし、自分より弱い人間には強く出たい衝動もある。弱者を従えながら自分が正しいと思い込みたい俗人ぶりが、自分と完全に無縁であるとはいえない。自分を守る力がなければ誰だってそうなる可能性がある。インターネットを見れば一目瞭然だ。弱者が更なる弱者をダシにして自分の残酷非道さを正当化している。

そんなことを考えながらぼんやりしていたら映画が終わってしまった。映画を見終わったあと、急に頭が痛く具合悪くなった。きっと3時間ゲームをやって立て続けに3時間映画を見ていたからだ。あまりに具合が悪いので、続きを書く気力がなくなった。だから風呂と読書に行かずにすぐ寝ることにした。明日はもっと工夫するようにしたい。