人生

やっていきましょう

自分がその作品、そのジャンルが嫌いだということと、その作品に優れた点があるということは区別したいものである。自分の個人的感情に基づいて作品を評価していると、自分の好ましい作品以外から何も学ぶことができない。

見ていて苦痛に感じる作品であれ、感情を捨てて観察に徹すれば、部分的には優れた要素が見えてくる。その要素を、特に自分が最も嫌悪している作品からであれば尚更吸収しなければならない。それは自分に、世界は自分の好ましい作品・表現ばかりではないということを教えてくれ、好ましさに埋められた自分の停滞に変化を与えるかもしれない。

また、特に最近のアニメに感じたことだが、先入観による嫌悪感を堪えて実際に触れることで、実はその偏見が歪んでいたと自覚されることがある。確かに苦手だという印象は変わらないが、苦手の度合いにもバリエーションがあり、作品を見れば十人十色ということが分かってくる。これを頭ごなしに否定していたら、この多様性には気づけなかっただろう。

感情による否定は容易い。しかしそれゆえに解像度が低いままの納得を自分で野放しにしてしまう。これは作品ばかりではない。人間にしてもそうである。自分は日頃から他人が怖いと言っている。しかしその嫌悪を堪えてよく見渡せば、人もまた十人十色であることが分かってくる。

こんなことは当たり前のことかもしれないが、自分が偏見に陥りやすいということを常々自覚することは重要である。感情に振り回されていると自覚した時は、一旦落ち着いて周囲をよく観察していきたい。