人生

やっていきましょう

211日目

今日から作業を再開する。

先日述べた通り、開発にあたってまだ明確な目標を設定できていない。先日の段階で方向性は決定したが、具体的な案を出すには至っていない。今回はより課題を明確にし、取り組むべき問題を解決する。

現在自分は開発に行き詰っている。それはシステム面の問題というよりは、むしろ演出面での問題である。自分はこれまで「Aseprite」での開発を通じて様々なドット絵を表現してきた。だがそれらはおよそ限定的なものであり、これから作ろうとするゲームのイメージを捻出するものであるとは言えなかった。自分は今までどういう場面のどういう構造物を演出するか、ということをまったく考えてこなかった。

そこで、今回はドット絵で自分が表現しようとする何かを演出する訓練をする。具体的にはまず場面やテーマを想定し、そこに置かれているものをつぶさにドット絵で表現する。最終的にはひとつの場面を完成させる。

 

そもそも演出とは何か。いくつかの定義があるだろうが、自分の場合は「連想しやすさ」の表現であると考える。

たとえば電車を演出したいと考える。そしたらまず電車の本体を想定する。これで完成だ。だが何もない空間に電車が置かれていても、いまいち印象が薄い。

もっと「電車らしさ」を演出するためにはどうしたらいいか。一番簡単なのは、背景に駅を置いてやることだ。駅に電車がとまっている。これだけでも自分がそこにいるようなリアリティを感じられる。

いま自分はリアリティといった。これが重要だ。自分があたかもそこに居るような感覚を抱かせる、それが演出だと個人的には思う。単純なパターンの組み合わせよりは、現実のものを、複雑なまま再現した方が演出として「電車らしさ」を感じる。

だから駅と電車の組み合わせよりも、現実に即した鉄道会社のロゴを模倣したデザインで電車を描き、電車の内装に横に並んだイス、両側のガラス窓、天井にかかっている広告、手すり、それにつかまる乗客、自動ドア、目的地を示す電光掲示板、座席の上のかばん置き、車両間のドア、車掌と運転機材。これらに加え駅のプラットフォーム、広告、点字ブロック、カメラの画面、隣駅の表示、改札口、待つ乗客、線路、柱、明かり、売店、イス、階段とエレベーター、エスカレーター・・・これらを一斉にひとつの場面に演出した方が、よりリアリティを感じる(待つ乗客などもスマホを見て待つ人間、友達と話している学生、電話で上司に連絡しているであろう会社員など、多様化することができる)。

ここまでする必要はない。今回自分はそこまで細部にこだわらない。だがある程度の詳細は意識する必要があると感じる。たとえば電車を演出したいなら、外側であればプラットフォーム、電車、隣駅の表示、乗客、イスくらいは表現する。パッと見て駅だと分かる最低限のレベルはやろうと考えている。

そこで今回は初めての試みとして「部屋」を演出することにする。自分にとって部屋とは自室のことを意味する。自室はどのように表現できるか。まず巨大な机がある。次にその上にパソコンが置かれている。その隣には使わない予備校の本が山積みにされている。その対岸には段ボールが山積みされている。奥にはベッドが置かれている。そしてごみ箱も置かれている。

机、パソコン、山積みの本、段ボールの山、ベッド、ごみ箱、これらを一斉に表現する。素材のベースとなる背景は先日アップした部屋を使う。

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完成した。机にランプとマウスを新たに設置し、壁に壁紙を貼った。これだけで以前の部屋よりは生活の奥行を感じられる。

ここから更に演出を試みるとするならばどうするか。たとえば主人公が「自堕落な」引きこもりのニートであるという演出を強調したいなら、床に散在したプリントや捨てられずに溜まっているごみ袋を配置すればいい。部屋の床も白でなく濁った色にしたほうがいいだろう。あるいは「マッドサイエンティストらしさ」を演出したいなら科学に関する機材や本棚を演出するといいだろう。黒板やホワイトボードがあってもいいかもしれない。

だが今回のゲームは等身大の自分をモデルに済ますつもりであるから、これくらいでいいと思う。強いて言えば左下の方に机を置くとか、たんすをひとつ外して奥に道を作るなどの微調整を行うかもしれない。だが基本はこれで完成だ。

ふとした思いつきだが、このように描きたい対象を無作為に連想していって、同時進行で開発を進めてもいいかもしれない。たとえば部屋の中が終わったら次は部屋の外、その次は家の外、村、となって、森の小道、駅、都会、といった連想が可能だ。その過程がそのままゲームの行き先となり、そこで初めてどうするかを考えてもいいような気がしてきた。