人生

やっていきましょう

955日目

バトルロイヤルゲーム、特にApexは自分に最も影響を与えたゲームであることは間違いない。広大なマップで物資を漁り、最後の一部隊になるまで戦う。その過程で隠れたり、襲撃したり、漁夫の利を狙う。そのゲーム体験の多様さと臨場感はまったく新しい、ひとつのゲームの到達点であるように思う(おそらくそれはスポーツにしても類を見ないものだろう)。

だからこそ、自分は今バトルロイヤルを通してゲームというものを捉え過ぎている。何を比較するにしてもバトルロイヤルに比べるとこうだと考えてしまう。そして大半のゲームは、バトルロイヤル特有の臨場感を与えない。

既存のゲームでは死んだら復活することが当たり前だった。ストックや時間内で何度も復活することができるから安心して何度も失敗し、リラックスして楽しめていた。しかしバトルロイヤルは違う。リスポーンアイテムなどの例外はあれ、基本的には一度死んだら終わりだ。だから必死に状況を観察し、優位なポジションを先取りしようとして、また時には最も優位な位置を強奪するために戦いに挑む。ひとつひとつの行動のリスクが大きい。しかしだからこそ、行動を踏み出す勇気というものが培われる。

自分はバトルロイヤルをある時期から楽しんでいると感じなくなった。むしろ真剣そのものであり、生と死の境界で何としてでも勝たなければならないと思っていた。

自分がそう思ってしまうのは、実は自分が射撃能力が下手な人間だからかもしれない。エイムが上手いプレイヤーにとってはバトルロイヤルの要素はただのおまけで、彼らには目の前の敵を倒し道を切り開くだけの単純なゲームに映るだろう(それは戦略として正しく、優位を得るための極めて重大な要素となるのだが)。

しかし自分のようにエイムが下手である人間というのは、まさにバトルロイヤルの要素こそがこのゲームの核心部にあるということを自覚しなければならなくなる。戦闘を起こす、移動を優先させる、漁夫の利を狙うあるいは警戒する、といったひとつひとつの行動に神経質にならなければ、安易な判断で命を落とす。下手な人間が後ろの方でもじもじしてしまうのはこれが原因だ。状況に神経質になりすぎるという臆病さゆえに、リスクを取って行動するタイミングも選べなければ、行動しなければ局面が有利に運ぶことはないということも自覚できない。

下手であるがゆえに自分はバトルロイヤルにおける過剰なスリルを何度も味わっている。そうした死線を何度も乗り越え、勝利を掴んだ時の感動は他に代え難い。しかしそうしたスリルを味わうことだけがゲームなのではないということを自覚する必要がある。自分のひとつの命をかけて死線を乗り越えるだけがすべてではない。それには激しいストレスと失望と後悔が伴う。

先日久々に何度も死んで良いゲームに触れた。その時、何度でも復活できるということがいかに尊く、有り難いことであったかを知った。いくら酷い負け方をしてもストレスがまったく無いのである。死んだ自分を笑う始末である。

この時改めて自分はバトルロイヤルの呪縛に囚われていたことに気づいた。バトルロイヤルはひとつの入り口でしかない。自分の街や家を作るマインクラフトやどうぶつの森のようなゲームもある。スポーツをゲームに置き換えたゲームもある。リアルタイムストラテジーにはまた別のスリルがある。そもそもゲームに限らず、のんびりハイキングをするのも良し、絵画や音楽を鑑賞して心を癒やされても悪いことはない。ただバトルロイヤルだけが唯一現時点で抜きん出てスリルを与えてくれるというだけである。

自分は一年前からapexが自分の精神を蝕みアンガーマネジメントを阻害する主たる要因であることに気づいていた。にもかかわらず自分は何度もそのスリルに没入し、気がつけば1年が経っていた。自分はバトルロイヤルが本当に恐ろしいと感じた。自分の人生が、価値観が、幸不幸が、すべてバトルロイヤルに支配されている。

気がつけば自分はまたダイヤに到達していた。ランパートで死線を潜り抜け、本来ならプラチナ相応のエイム力で無理してダイヤに乗り込んだ。撃ち合いではなく、立ち回りに対する執念が自分をそうさせた。もはや自分にとってバトルロイヤルはいかに立ち回りを有利に行うかを考えるだけのゲームになっている。そのスリルに自分は支配されている。

だからもう、際限なくプレーするのはやめようと思う。これ以上バトルロイヤルに関わると戻って来られないような気がする。たまにapexを遊ぶ時、信じられないほどの没入感を味わう。しかしそれは一瞬で、長く続けていれば次第に苦痛が増してくる。しかし中断すれば禁断症状が出てまたやりたくなる。まるで麻薬だ。

たまに遊ぶ程度が丁度良いのかもしれない。苦痛で耐えきれなくなったらやめる。そこで悔しがってまた始めたら再び泥沼に浸かることになる。カジュアルに潜るのが良いだろう。部隊の減りは早いが丁度良いストレスで楽しめる。アリーナは避けるべきだろう。エイム弱者の自分にとってアリーナは苦痛でしかない。ランクが一番面白くスリルがある。だが控えめになるべきだろう。最近ようやくプラチナ帯でRPの増減を気にすることが減った。RPのことはあまり考えず、たまにカジュアル感覚で楽しめば良いと思う。