人生

やっていきましょう

apexの現環境がぶっ壊れていて「誰でもマスターに行ける」とネットで言われている。事実トラッカーサイトを見ればマスターの比率が抜きんでており、そのマスターも今までの環境では到底ダイヤにも及ばない人間があっさりと行けてしまうほどらしい。

これはランクシステムの改変が影響している。まず新しいランクマッチではどのランク帯であっても参加費用が-35で一律となる。そしてキルポイントの重要性が極端に下がり、貰えるポイントがほとんど順位によって決まる。とにかく高順位を取ることが重要になった。

つまり極端に言えば、キルを全く狙わなくて良くなった。キルは生存のための手段でしかなく、キルポイントを気にしてわざわざ戦闘をふっかける必要がない。また仮に味方の誰かが倒れても、そこでヤケになって戦闘を起こさず逃げきってハイドに徹すれば、序盤で味方が2人削られたとしても5位以内に入ればそのまま100ポイント貰うことができる。以前記事にしたと思うが、このためにキルをまったくせず開幕プレデターに到達したプロゲーマーがいた。この異常性を象徴する出来事である。

当然、このシステムは上級者から不満の声が上がった。特にこれまでの試合でマスターに到達していることを誇りに思っているプレイヤー、戦闘に自信があり実力でゲームを支配してきたような層には不評だった。こんなかくれんぼをして時間をかければマスターに行けるようなランクに何の価値があるのか。確かに言いたいことは分かる。

しかし自分は違った目線でこの状況を好意的に見ている。いくつかの点があるが、最も自分が強調したいのは、順位が重視されることにより、バトルロイヤルから漁夫の利が消失したということだ。

今までのランクはキルポイントが重視されていた。当然どこかで稼がなければいけないが、そのまま敵に突っ込んでいくのは危険である。だから漁夫の利を狙うというのがセオリーになっていたのだが、それが最も有効であることがほとんどすべてのチームに共有されているので、ひとつの戦闘が起こると漁夫の利の連鎖が止まらなくなる。この展開を自分は面白くないと感じていた。自分たちが漁夫の利を狙って成功したとする。するとその背後には1チームか2チームがいて、自分たちを食い物にしようとする。ランクを回しているとこうした状況に陥ってばかりいるので面白くなかった。

しかし今シーズンから信じられないほどにランクマッチが快適になった。それはひとつの戦闘にたいして誰も横やりを入れようとしないからである。あの漁夫の利の連鎖で悪名高いキングスキャニオンでさえ、ワールズエッジかと思うほどに快適だった。いつのまにかホライゾンやらシアやらパスファインダーやらがウルトを使って介入する悪夢がほとんどなくなった。それでも倒されるときは倒されるが、すべて自分の死因が理由が明白で、負けることにも納得できる。

おそらく今シーズンのランクは、漁夫の利による戦況のマンネリ化にメスを入れようとした結果なのではないかと思う。銃声がしたら反射的に音のする方に近づいて、戦闘に横やりを入れてキルポイントを稼ぐ。もう何シーズンも経っているが、誰も彼もが同じことしかやらないので正直面白くなかった。

それが消えた、ということは何を意味するのか。スカーミッシャーやアサルトクラスでごり押すだけのプレーが通用しなくなったということだ。これは縦横無尽に駆け巡り、散々自分を苦しめてきた人気のレジェンドたちのスキルが、単に「戦闘において優位をとりやすい」という特徴に相対化されたことを意味する。これまでは戦闘において優位を取れることがすなわちゲームにおける優位に相当していたが、今シーズンからは事実上漁夫の利が消失したので、籠城で優位を取れるレジェンド、サポートで優位に取れるレジェンド、偵察で優位を取れるレジェンドの地位が上がった。これらのレジェンドは戦闘において優位は取れないかもしれないが、逃げる、移動をする、ポジションを取る、戦況の情報を得る、といった局面で優位を取ることができる。互いのチームがそれぞれの思惑からフィールドでぶつかり合うので、以前に増して余計にバトルロイヤルをしている気分になる。

しかし課題もある。生存が最も重視されるので、リング内で戦わずリング外のレプリケーターで耐久することが最もポイントを上げる有効な手段となってしまっている。リングダメージも以前の批判を受けて元の長さに戻ってしまった。この点は改善されるべきだと思う。例えば時間とともにリング外のレプリケーターが天に昇って行き、レプリケーターで耐久しようとする人間が僅かな資源を巡って衝突しやすくすると面白いかもしれない。

またマスターに到達するプレイヤーがあまりに多いのは問題だろう。マスターに簡単に到達出来てしまうことも問題だが、マスターの人数が多すぎてプレデターのボーダーがとんでもないことになっているという。時間をかけて耐久するという作業を延々と続けた人間だけが上位に行けるのは酷であるように思う。例えばマスターの間に新しいランクを設けて、そこからは上級マッチとして参加費用が跳ね上がり、マスターは上位2000人、プレデターは上位500人のようにしてはどうか。どこかで差別化できる要素があるといいと思う。

今朝自分はゴールド4だったが、夕方にはプラチナ4になっていた。その間に何度もチャンピオンを取り、何度も数百ポイントを得た。一番良かったときは780ポイントを得た。これなら自分もマスターに行けるのではないかとさえ思う(以前最もマスターに近づいていたダイヤⅡの時以上に、到達の可能性は高いと感じている)。それは当然周りも同じであり、最終的にマスター人口がどうなるのかは楽しみである。