人生

やっていきましょう

1215日目

自分には創作の才能がない。しかしひとつの作品に対する創作自体は長く続いている。これにより才能のない長編が生まれることになる。

才能のない人間の、不完全で偏った見方がある。それが微細なものであるなら、大して面白くもない、世にありふれた失敗作になる。

しかしそれが何年にも渡って形成され続けてきたひとつの大きな混沌であるならば、その存在は極めて異様なものになる。

才能のない不完全な見識から生み出された歪んだ作品。それを没入や感動といった見地からではなく、異物を観察するように対象に眺める。すると段々その実存に違和感を覚えてくる。

ネットの怪文書というものがある。純粋に自分に従ってその思いを書いた結果、ある種の異質さが滲み出て人々を不安にさせる文章である。

自分の作品はそのネットの怪文書と同列であると思う。意味の分からないゲーム。動機が分からない作品。自分が狙ってそうしたわけではなく、気がついたら自然とこうなってしまった。

この異物はひとつの疑問を喚起させる。なぜここまでつまらないものを、7.8年もかけて作り出したのか。なぜ宣伝もせず、利益や名声のために作られたわけでもないのに、それがそこにあるのか。自分でも自分の作品に不安に感じる。

この創作の結果、自分は通常のキャリアや人生を諦めることになった。自分でもよく分からないまま、本来社会で活かすはずだった力をすべてこの創作に捧げている。それがゴミのような作品となると、自分は何をやっているのかと思う。