人生

やっていきましょう

自分は今一本のたいまつを持っている。周りは一切の暗闇である。見えているのは足元だけ。さて自分はどうすれば良いか。

まずは燭台に火を灯せば良い。火が燃えている間は、それが自分の歩いてきた通過地点を示すポイントになる。火の届く範囲は視界が開ける。何か問題があれば視認できる。

この燭台をひとつ、またひとつと増やしていく。すると暗闇は昼のように明るく照らされる。光に征服されたこの土地に人は安住できる。

ふたつの人間がいる。光の内側に生きる人と暗闇の中に生きる人だ。光は道を示し、世界を投影する。したがってたいまつが見せる範囲は光の住人の世界そのものとなる。闇は彼らの視界から消える。そもそも存在しないことになる。

闇に生きる人間には世界が存在しない。どこまでも広がる闇だけがある。道はどこにもない。自分が今どこにいて何をしているのか全く分からない。たいまつのある人間はその暗がりを歩いて行ける。光の弱い人間は不安に支配される。