人生

やっていきましょう

503日目

対話や意思疎通においては、自分と相手が同じ話題について同じ問題を共有しようとする努力が必要であるように思う。しかし現実にはそうした情報の一致を試みることは極めて難しく、人と人が集まるところには当然といって良いほど誤解が生まれている。自分はこうした情報の不一致という問題に極めて過敏であり、できるだけ自分の意図や考えを相手に理解してもらうための努力をしてきた。しかしそれでもなお一向に伝わらないということがある。

当然といえば当然だが、情報がそのまま適切に伝わるということはまずあり得ない。簡単な情報であれば伝達することは容易かもしれないが、難しい話、とくに抽象的な話になると相手の言外の意図を理解しなければ対話が成立しなくなる。これは相手に限らず、自分のことにも言える。自分も他人に対して、自分が自明とする言外の意図の影響を多分に受けており、そのことで相手の話を誤解している可能性もある。

自分は相手が自分の話を分かってくれると素朴に信じているところがある。しかしどれだけ言葉を選んでも、相手に自分の考えが分かってもらえることはない。自分はそうしたことを何度も経験したことで、他人に分かってもらえると思うことがいかに愚かしいことであるかを理解した。むしろ情報は初めから誤解されるものと考えた方が適切だろう。

自分の態度をはっきりさせる。自分は他人に理解してもらえると期待することをやめる。だがそれでも自分は対話の可能性までを否定はしない。自分が正しい、相手が間違っているという安易な理解に走らず、自分は自分の情報が可能な限り適切に伝わる形を維持する。そうすることで常に対話の可能性を開いておく。そのために、自分の理解にあぐらをかかず、自分の理解が不十分である可能性を常に視野にいれておく。それでも伝わらない相手のことは諦める。