人生

やっていきましょう

839日目

第三章が後半に入った。新たに追加するダンジョン1面と既存のステージを1つ、その後最終イベントとサブクエストをいくつか作って3章は完成となる。

ダンジョンはそれまで開発した展開のつなぎとなる部分にあたる。ここを省くことも検討したが、後の展開に説得力を持たせるためには欠くことのできないものだと判断した。ただあまり時間はかけられないので短時間で集中して完成させる必要がある。

最も困難な課題はギミックをどうするかというものだ。3つのギミックを計画しているが、さすがにネタが切れてきたのでどのようなものにするか見当がつかない状態にある。以前作ったものの二番煎じにはしたくないので、この部分については手を抜かずに考える。

ギミックの企画が困難であるというのは以下の2点が存在することによる。ギミックそれ自体が実際に機能するのかという問題と、どのような配置がギミックにゲーム性を持たせられるかという問題だ。

前者はアイデア一本で決まってしまうことが多く、こちらはあまり苦労はしない。問題は後者であり、パズルの原理となる部分を思いついても、それをどう配置すればパズルになるのかという部分がまったく思いつかないことが多い。

例えば前回洞窟で迷路に置かれた岩を動かして道を開くというパズルを作ったが、岩を動かして道を開くというコンセプトは思いついても、では実際にどのような迷路、どのような岩の配置を行うことで、パズルとして機能するのか、ということが自分の中でまったく見えてこなかった。

何をすればいいかまったく分からないときは、何が自分にできる範囲であるかを把握するところから始めた方が良い、というのがこの数年で学んだ知恵である。自分が混乱しているときは大抵の場合、一度に多くのことに手を出してしまっており、何をしたら良いか分からなくなっているからだ。

例えば岩場を動かす迷路というコンセプトに対して、実際にそれをどのように配置するのかということを考える際に、いきなり複雑なパズルを想定する必要はない。手始めに正方形を切り分け3*3マスの中で何ができるかを考えるところから始めると良い。おそらくできることは少ないが、何らかのパズルは生み出せるはずだ。それを実際にプレーしてみてプレイヤーとしての難易度を確認する。それがあまりに簡単すぎるのであればマス目を増やし枠の形を変形させ、難し過ぎたら要素を削ぎ落とし単純化すれば良い。

重要なのは実際に自分が生み出したパズルが、(難易度はどうあれ)パズルとして機能したという経験だ。その経験があればその発展形をイメージすることができるようになり、そうでなくとも自分が開発できるパズルの難易度の限界というものも知ることができる。

自分はアイデアというものが生まれた瞬間に、自然とその応用法が芋づる式に導かれてしまうという偶然に期待しすぎている。しかし実際そうなることは稀であり、大抵の場合、アイデアの応用法というものはそのアイデアのコンセプト自体というよりは、それが実際に運用され問題なく機能したパターンの引き出しを自分がどれだけ多く知り、どれだけ正確に把握しているかという方に依存するのではないかと思う。

この応用的なアイデアというのは、単純に頭の中の情報を自由に連想させるという観念遊戯の感覚では得難いものであり、数多くの有効な情報を判断材料として、どのような組み合わせで行えば妥当であるか、ということを考えられる忍耐と知性、そして何より経験知を必要とする。自分が苦手なのはまさにこれらの能力を欠いているためである。

自分は背伸びしてどうにかパズルをやりがいのあるものにしようと焦ってしまう。だが背伸びをして時間を浪費するよりも、今自分ができることをこなそうとする方がよほど有意義であるということを自覚する必要がある。

自分の半生はほとんど自分の能力以上の壁に対して背伸びしようとするものだったが、それらは大抵の場合失敗に終わった。ただ闇雲に壁を突破しようとして自分の現在の能力の限界が見えていなかったことが問題だった。

限界を見ようとしなかったのは無意識のうちに自分の自尊心を守ろうとした結果だろうが、そのために自分は、自分の可能なことと可能でないことの境界が見えず、可能なことを「拡張」していくという発想すら持てないでいた。限界を知るということは可能な領域を増やす上で欠かせないものであるということを、自分は学ぶべきだった。