人生

やっていきましょう

1158日目

自分が見ている配信者の中で注目している1人がいる。その配信者のプレーはほとんど上手いとは言いがたいが、トークの威勢だけはプロ並みで配信界隈ではピエロのような立ち位置を確立している(話している中身はよく聞くと月並みだが、あの手この手を使って誇張を弄し、どれほど調子の良いことを言ってもこの配信者だけは許されるという異様な雰囲気が面白く、自分の中で妙な関心を惹いている)。

しかしこの配信者の最も特質すべき異質さは、何があってもカメラの前では怒らないという点である。何年もapexをやって未だゴールドで停滞し一度もダイヤに行けていないという現実がありながら、味方が下手だと愚痴を吐いたり、試合にイライラしたことがない。少なくともこの配信者がストレスを爆発させた姿を自分は見たことがない。すべて自分が失敗したと言うだけである。

他人に怒らない配信者というだけでは珍しいわけでもない。少なくともプレデターやマスターに当たり前のように行っている有名配信者は負けたとしても淡々としている。しかしそれはフルパーティを組んでいるだとか、自分に確かな実力があるからだとか、どこか余裕があってのことだ。

しかし1年前の自分のように、一度もダイヤに行ったことがなくどうしてもダイヤに行きたい、しかし固定メンバーを集められないので1人でランクに潜るというような人間にとっては相当ストレスフルな環境ではないのか。

プラチナダイヤで停滞し暴言を吐き続ける他の配信者を自分はよく知っており、自分もまたストレスを溜めては味方に怒りを向けてしまう人間だからその感情はよく知っている。しかしこの配信者は、長年停滞し続けていながら、人間的な焦りを一度も感じさせない。その異様さに自分はいつも驚かされる。

思うにこの配信者は浅い人間である。しかし人間離れして浅いのである。通常大言壮語を吐き実力が伴っていなければ、恥ずかしさや申し訳なさを感じ萎縮するはずである。またそれを他人に謗られることを恐れ、虚勢を張ったり味方が悪かったと言い訳するはずである。しかしこの配信者はまったくそうした気配を感じられない。口だけは悔しがったりこうすれば良かったと反省するが、是が非でも勝ちたいという必死さを感じられない。コメントでどれほど悪口を書かれてもまったく動じない。そこが彼の異様さである。根底にすべてがどうでもいいという投げやりさを感じる(断じて適当ではない)。ハンターハンターにパリストンという人物がいたが、同じ印象を抱かせる。

彼の内心はどうなっているか分からない。しかし自分が見る限り、この配信者は配信者として一流だと認めざるを得ない。道化とは何なのか、そのひとつの到達点がこれであると言って差し支えない。職業人としての妥協の無さがそこにはある。