人生

やっていきましょう

abemaTVでメイドインアビス1期を無料公開していたのでその日のうちに全話視聴した。最初はアニメに対して抵抗があったが、演出にアニメ特有の苦手な感じが無く、自分でも見やすい作品だった。

初めて見た作品だったが面白い内容だった。深淵の先に待つ探窟家の母を追う少女と、深淵の底から来て記憶を無くし、自分の正体を探るロボットの少年が、共にアビスの果てを目指すという物語。小さい子供にしては博学多才で、大人でも簡単に死ぬような世界でなぜか生き延びるなどご都合主義なところはあるが、そんなところが気にならないほどに作り込まれた世界観に圧倒される。

アビスは無尽蔵の金脈で、そこから回収できる遺物には価値がある。深層に行けば行くほど希少なものを得ることができ、それらを売れば一攫千金を狙うことができるため大勢の野心家が穴に集まることになる。人が集まるところには街ができる。穴に潜った大人たちはアビスで死んで行くため、街には孤児院ができる。孤児院の少年たちもまたアビスの底に魅せられる。

金脈を効率よく採掘するためにギルドのような組織ができる。組織は笛で階級づけられ、自分の実力に応じた色が与えられる。しかしそんな格付けを嘲笑うかのように深淵では黒笛や紫笛が死んでいく。それでも最上位の白笛にもなると前人未到の領域に立ち入ることができる。彼らは深層で得た遺物を纏って深層に順応する。

こうした設定の数々が話の世界観に説得力を与えている。自分の作品もこれくらい土台を考えられたら良いのだが。

自分が興味深いと思ったのは深層から上がった際に発症する上昇負荷だ。これにより上層に戻ることが一層困難になる。高山病を題材にしたのだろうが、よく考えられている。これによりアビスの階層を超えて生物がやって来ることは少なく、階層を跨ぐとまったく異なる生態系が生まれている。

アニメでは詳しく説明していなかったが、深層から戻る際にはどのように上昇負荷を克服しているのだろうか。第六層以降になると人間が耐えられる上層負荷を超えるため作中ではラストダイブと呼ばれていたが、それより上の層はどのように戻っているのだろう。原作や他の作品を見れば分かるかもしれない。

メイドインアビスは自分の関心に刺さるアニメだった。冒険譚と取り返しのつかない展開という自分好みのジャンルであり、インターステラー以来のスリルを覚えた。辛い展開しかない中で無力を自覚させられながら必死にもがくというのも良い。

abemaには1期しかなかった。今度は続編の映画を借りて観たい。