人生

やっていきましょう

2章と3章の繋ぎ部分を修正した。たったひとつの場面だったが相当苦心した。3章以降の方向性を示す重要なシーンだったからだ。昔作った時に何日もかけたのを覚えている。結局全部作り直して新しいものにした。

これまでのストーリーの問題点は、主人公の復讐の物語にしてしまっていたことだ。もし勇者が魔王を倒すという動機で動いているなら、章ごとに魔王の部下を配置して倒させるというストーリーにすべきだった。あるいは先に進むごとに魔王への手がかりが増えていくという形にすべきだった。作り手がプレイヤーに対して、ゴールに近づいているという分かりやすい報酬を与える必要があった。

しかし個々の章を俯瞰してまとめ上げると、そうしたストーリーは合わないということが分かってきた。主人公の怒りの物語であるはずなのに、なぜか人助けに力を入れたり(2章、4章)、その章の舞台でゆっくり過ごしている(3章)。各章をクリアしても、主人公の怒りが報われていくこともなければカタルシスを感じることもなかった。

むしろ「何かを探し回る」という目的を与えた方が、このゲームのストーリー、キャラクター、世界観に合ってくる。主人公は自分の意志で動いているというよりは、その時その時の環境に振り回されている。その状況に説得力を与えるには、主人公の探し求めるという動機を前面に押し出した方がいい。

そんな主人公の感情や行動について考えると、呪いを解く方法を探すというテーマはぴったりだった。自身にかけられた呪いを解く方法を探す。しかしどこにあるか分からない。だからあちこちを旅して回る。物語に説得力が生まれている。

こうなるとラスボスとその信奉者たちの位置づけが変わってくる。彼らを真っ先に倒す必要がないのである。これが自分の違和感を解く鍵となった。

前のストーリーでは主人公の動機が曖昧だった。主人公が真っ先に始末しなければならない敵がどこにいるか分からず、手がかりがほとんどない。にもかかわらず王様や仲間を介してまずはここはどうか、その次はここが良いんじゃないかと指示・案内されていく。本人もそれに反抗しない。主人公の怒りの物語であるはずなのに、彼自身の主体性がないのである。

しかしもし敵を倒すという話ではなく、呪いを解く物語であるならば、敵は倒すべき目的というよりは邪魔者になり、わざわざ敵の居場所を探そうとしたり、ラスボスを倒すために動こうとしなくても良くなる。目的はあくまで解呪の探求。邪魔者の排除は二の次でいい。

以前第二章と第三章の繋ぎ部分では、この時点でラスボスへのルートを指し示す必要があった。そうしなければただ単に旅して回るゲームになり、主人公の復讐の物語というストーリーを正当化出来なかったからだ。

しかしこれを大幅に変えた。ラスボスの情報や敵組織に関する情報を全て排除し、呪いを解く鍵はここにあるという情報だけを示すようにした。呪いの仕組みはこうであり、この呪いにはこの魔法が有効だ。それを応用し解呪できる魔導士はこの人しかおらず、彼の生死は不明だが新大陸にいるはずなので行って痕跡を探しなさい、という方向にした。以前よりは明らかに自然な流れになった。

主人公の怒りと復讐の物語については、仲間の1人の動機として置き換えた。ふと閃いたことだが、これは本当に革新的で素晴らしいアイデアだった。今まで自分は複数の動機を1人に抱え込ませていた。しかしそうではなく、別々のキャラクターに担わせて何をメインに描き、何をサブに置くかを決めれば良かった。これによりプロローグの説得力が急激に増し、予期せずストーリーに重厚感が生まれてきた。仲間の動機であることで、それが副次的な目的であるという位置付けになるのも良い。

信じられないことだが、すべてが丸く収まった。これで何の心残りもなく第三章に行くことができる。しかしこれまでの改変により、第三章のストーリーを大幅に変更せざるを得ないことは明らかだ。

しかし自分はあまり不安に思っていない。自分は今何をすべきか分かっている。