人生

やっていきましょう

ディスコ エリジウムというゲームはNPCのセリフに対して様々な思想に基づいた返答を返すことができる。この点が自分の興味深いと思う仕組みのひとつだが、特に興味深いと思ったのはいつも中道的な選択肢を取ることができるというものである。

どんなセリフに対しても、いわゆる偏った信念を持たず、いかなる派閥に対しても刺激するようなことを言わない、まさしく中道的な返答を返せるという逃げ道が必ず存在する。ゲーム上ではそうした信条の持ち主をモラリスト(倫理主義者)と呼んでいる。

【良心の王国】という思考を採択すると次のようなテキストが表示される。

良心の王国は今のまま変わることはない。倫理主義者は信念を"持たない"。床に散らばるおもちゃにつまずくように、偶然何かに行き当たることはあるが。そのおもちゃをすぐに片づけて、子供を叱るべきだ。中道主義は変化ではない。漸進的な変化でさえない。それは、自分と世界に対する"支配"だ。それを行使して、空を見上げろ。<連合>の空力艇の黒いシルエットが浮かんでいる。そして、自分自身に問いかけろ。倫理主義に悪意は存在するか?答えはノーだ。主は天にいまし、世はすべてこともなし、だ。

倫理主義は完全な事なかれ主義ではない。思想を持たないが善悪の区別がある。その中道的な区別によって模範を示す。<連合>の担い手であるRCMの基本的な態度である。倫理主義がなにかを変えることはない。それが世界を良くすることも悪くすることもない。ただ良心に基づくある種の基本的な態度をもって、どこにでも浸透する。それが「自分と世界に対する"支配"」である。これをひとつの宗教と見るのもあながち間違ってはいない。

ディスコ エリジウムをやっていると、まさしく自分が中道的な人間だということが実感できる。【良心の王国】を採用すると倫理主義的な選択肢を取る度に気力が回復する演出が見られるが、自分の画面では気力が尽きることがない。