人生

やっていきましょう

今日自分がしようとしていたことは、分岐に関する一連のイベントシーンを完成させることだった。結論からいえばこれには失敗した。自分が何をしようとしているのか分からなくなり、作業を中断してしまった。

AとBの2つの分岐を用意した。どちらも同一のゴールにたどり着く。Aは完成したから今日はBをやろうとした。ところがこのAとBを選ばせることが必要なのかと考えてしまった。説明すると、Aは通常のルート、Bは金を払って楽をするルートだった。だが結局ストーリーの後半でBルートで金を払って得るアイテムが必要になるから、わざわざAを選ばせる意味がない。それにどちらのルートを選ぶことも大した影響がないから、それだったらわざわざ金を払う意味はあるのかということを考えてしまった。

これについて次のような答えを出した。AとBを分岐にしない。プレイヤーはフィールドを散策して、Aというルートを見つけたりBというルートを発見する。Aルートはストーリーを読んでセリフを見ていれば分かる。Bルートのヒントは近くにあるからすぐにアクセスしやすい。

理屈は分かった。起点と終点との間に自由に行動できる幅を持たせる。そこでヒント探しゲームをやらせる。そういう作りにするなら、ヒントに対する誘導を持たせなければならない。自分がよくやりがちなのはプレイヤーにノーヒントで手がかりを見つけさせるということだ。その方がやりがいがあると誤解しているのだが、実際のところそれはプレイヤーに必要以上の負担をかけることにしかならない。

誘導は必要だ。【相談コマンド】を通じて仲間と会話させる。NPCとの会話から情報を集める。別に本格的にする必要はない。ただ次の展開につなげる軽いクエストのようなものだ。正直ここまで深刻に考えることではない。適当でいい。

ごちゃごちゃ無駄なことを考えて問題が何なのかを明確にできなかった。整理すると、①ゴールに対して複数のアプローチが選べるということは、このシーンに必要か。②プレイヤーに対する効果的な誘導とは何か。どのように演出できるか。の2つが今日の問題の中核だと考える。

①に対する答えはイエスだ。複数のアプローチが可能になったことでプレイヤーはフィールドを探索せざるを得なくなる。そしてまさにこの探索こそ第四章の最も重要なファクターであるから、その強制はストーリーと世界観に説得力を持たせることに繋がる。当初の段階ではこのシーンの深化は想定していなかったが、まったく何も知らない状況に落とされた主人公たちが手探りでヒントを探して何をすべきか分かってくる、という展開を演出するためには必要なことだったと思う。

②については基本的にNPCとの会話からヒントを得ていく。どのようなヒントを与えるべきかはもう分かっている。問題はそれをどう演出するかということだ。

自分が最も陥りがちな表現は、プレイヤーにそのまま情報を提示するというだけのものだ。これは自分がその必要に従って作っているだけなのだが、これが作品を著しくつまらないものにしている。NPCとの会話というのは何であれ面白さに繋がらなければならない。それは文章ベースのRPGだからより一層その必要性を感じている。

以前から何度も言っているが、NPCは主人公に情報を与えるために存在しているわけではない。確かに作り手の都合としてはそうであるかもしれないが、主人公にとっては赤の他人であるし、NPC本人にとってはそこでの生活を抱えている一人の市民である。またNPCにとって主人公の都合など知ったことではない。彼らが欲しい情報を必ずしも持っているわけではないし、持っていたとしても教える必要はない。

自分に必要なのは、それぞれのNPCが一人の独立した人間であり、彼らの偏りが個性となりセリフとして表れているという前提を理解することだ。この多様性に対する想像力を持つことが重要だ。自分は今想像力と言ったが、この想像力が何であるかを自覚しその理解を頭の中にとどめ続けることはとても難しい。

想像力というのは目の前に存在しないものであっても、いくつかの情報を手掛かりにその存在を思い描いてみるという力だ。NPCを作っているのは自分だから、自分の考えを分割してそのまま言わせるというのは極めて想像力に欠けている。人は多様で様々な性格を持つ人間がいる。作者自身が反対に思っていることでも、賛成と思うキャラクターを想像することはできる。無論自分が不快に感じるキャラクターを描く必要はないが、「このキャラクターにヒントとなるこの情報を言わせよう」とキャラクター造形を単純に考えている時はこのことを思い出す必要がある。

自分は難しいことは言っていない。そこまで複雑なものは求めていない。ただ単に、キャラクターは看板ではないとだけ言いたい。そのことを自分は理解すべきだ。