人生

やっていきましょう

ドラクエの設計を馬鹿にしたプログラマーが作った自作ゲームが微妙だったという冷笑ツイートをネットで見た。プレー動画を見たら時代に見合わずファミコンのようなデザインでストーリーも微妙なものだったが、これをRPGツクールやUnity、ウディタ等を使わずに作ったことはすごいと思った。動画で紹介されていたミニゲームも完成度が高く、よくここまで作れたものだと感心した。

このゲームはSteamで売られていて、この作品に対する様々なコメントが多く寄せられていた。いくつか読んでいたが、その中のひとつに目がとまった。そこには「これは『完全自作』であって『完全オリジナル』ではない」と書かれていた。このコメントが正面から突き刺さった。

このコメントに書かれてある通り、このゲームを見るとどこかで見たようなミニゲームが多く出現する。それ自体は完成度が高く評価に値するのだが、そもそもこのゲーム自体の面白さが何なのかがいまいち伝わってこない。ストーリーや演出を見る限り、これならわざわざ自作でやらずともゲームエディタを使ってやればいいだけの話である。しかしこの作者は一貫して自力にこだわった。

自分にはこの作者の考えが分かる気がする。彼はゲームが面白いかどうか以上に、自分がゼロから生み出せたかどうかの方に関心がある。だからゲームは技術ありきになり、ゲームとしては微妙なものが生まれる。

自分は現在、完全にとは言わないが同じ問題、同じ動機と向き合っており、そのことで悩んでもいる。自分は近年いくつかのミニゲームや仕様を、外部のサイトから持ってくるのではなくゼロから作ることにこだわっていた。その結果いくつかのミニゲームが誕生した。だがこれは果たして面白いのだろうか。オリジナリティのあるものなのか。

自分がこれまで作ってきたミニゲームはおそらく自分の技術に対する見栄から生まれているように思う。前提知識のない状態で何かをひねり出し、それが自分の創意工夫によって形となったということが自分の自尊心を刺激する。おそらくこの人も似たような動機があるのではないか。しかしそれはただの自己満足でしかない。

耳が痛い話だが、ゲームとして成立するためには少なくともユーザーが楽しめるような面白いものでなければならない。自分にとっては苦心して作り上げた最高のパズルでも、やっている側からすれば単に手順が面倒で複雑なだけのものでしかないことがある。自分もそのことを事あるごとに思い出し意識するのだが、気が付いたら忘れてしまっている。この作者を反面教師にして忘れないようにしたい。