人生

やっていきましょう

思い切って開発をやめ、一日中別のことだけを考えて過ごした。apexをつけて配信者の動画を見てMMOをやった。それでもまだストーリーのことを考えてしまう。とにかく面白い話を作らなければという強迫観念が、頭から離れることがない。

ストーリーを考えていて一番苦しいのは、自分の創造力の限界に直面することである。まずキャラクターの人間描写。自分は人と人が互いの思いをぶつけ合うシリアスなストーリーを描くのが苦手だ。むしろそうした劇を茶番と冷笑し、面白悪口で捲し立てるくだらない話ばかりを描いてきた。自分もその方向には納得していて最後までそれを貫くつもりでいた(だからこそ終始クソゲーと自認してきた)が、面白悪口の筆頭キャラクターが離脱し、パーティが分岐するという展開になってそうも行かなくなった。今自分が描いているストーリーは、道化役が存在しない、純粋にシリアスなストーリーだ。自分は彼らの力を借りずにストーリーを完成させなければならない。

人物描写だけならまだ希望があったかもしれない。第3章はまさにその点で成功していた。しかしそれ以上大変なのが、世界観の構築である。舞台がどのような社会、文明、文化で営まれているのか、またそれを成り立たせるシステム、技術、組織は何か。それらによって成り立つ舞台の上で、どのような勢力図が敷かれているか。主人公はその世界の中でどのように振る舞っていくか。これらを自分の頭ひとつで考えなければならない。

おそらくそれは不可能に近い。自分は以前からずっと、自分は高校で習う程度の知識量しかないと言ってきた。ある世界観を成り立たせる高度な裏付けを、いかなる分野からもアプローチできない。例えば政治や権力闘争に疎いので、それを題材とした物語を描くことができない。商人が旅団を率いて金を儲けるという描写があるが、自分は商人の心得も経済のことも知らないので、突き詰めようとすればどこか浮いた話になる。機械工学に触れたことがないので、何かの機構を描こうとしてもドラえもんに出てくる何かすごい便利なモノ以上の描写ができない。

それらを精密に表現し尽くす必要はない。こうした分野を理解する上で重要なポイント、すなわち要点を掴めていればいい。自分が言いたいのはその要点を把握する上で必要な知性と知識量が、現時点での自分には足りていないということだ。それを自分も分かっていたはずなのだが、モンスターエナジーによる一時的な気の迷いで実装する道を選んでしまった。

第四章は、その理解の限界に極限まで挑んだストーリーだった。着想は素晴らしかった。だが自分はそれを表現できる理解力や演出力がなかった。結果終始浮いたような話になり、それが原因で自己嫌悪に陥った。

ただ、こうした動機は極めて個人的なものだと思う。観る側からすれば面白ければ何でも良いということになるだろう。こんなつまらないことで悩むよりは、面白い話を作ることに専念した方がいい。とはいえそれはそれで難しい課題だと思う。面白さが何なのか自分もよく分かっていないからだ。

しばらく創作から離れて、自分の進むべき方向についてじっくり考え直したいと思う。創作意欲が戻ったらまた動き出すと思う。