人生

やっていきましょう

スタッフの1人に自分でなんでもこなす人がいる。自分がやろうとした作業を目の前で奪っていく。自分は役割を奪われて文句を言う人間ではない。むしろ楽ができて得をしたという気分になる(貢献と自尊心が結びついている人間にとってはつらいだろうが、自分はもうだれかに自分の実力をわからせたいと思ってはいない。全部自分がどこまでできたかという話でしかない)。

しかしすべてを一人で抱えさせているのは悪い気がする。【局所解は全体の最適ではない】ということをここでも実感する。一人がすべてをやろうとすれば、自分はやることがなくなる。手伝おうにもやることがないから自分が動かなくなる。そのうち「自分がここにいる意味は?」などと考え始める。自分がいてもいなくても回っていくなら自分がいる意味はない。

一人で背負いすぎだ、もっとこちらに任せて楽をしていいと伝えても大丈夫だと言う。何が大丈夫なのか。この勤勉さゆえにこちらは罪悪感を抱えることになる。そうして自分は不本意ながら楽をさせられている。

新人が来た。不幸なことにこちらも勤勉だ。しかも飲み込みがはやく要領がいい。どんどん自分は楽になる。罪悪感とともに。彼らはいい人たちだがますます居心地が悪い。自分も怠けているわけではないが、結果的に何もないときに何もしていないので管理人に怠け者という印象を与える。

自分はワーカーホリックに仕事を奪われて自分が軽くみられることにいら立ちを覚えているのではない。奪えるものならどんどん奪ってほしい。どうせ給料は同じだ。そうではなく、自分が彼らに重荷を背負わせておいて自分だけ高見の見物をしているように見られることがどうにも気分が悪いのだ。どうせなら全員で楽がしたい。だから自分もできる限り彼らのやることを奪っていこうと思う。