人生

やっていきましょう

創作の辻褄合わせを考え始めるとずっと過去のところにまで遡る必要がある。こんなことをもう何年も続けていて、未だに第四章は完成の目途が立たない。

今回自分が作ったシーンはこれまでの違和感を解消する最も有効な演出となるはずだった。確かに以前よりは違和感がなくなったけれども、今度は別の違和感が生まれることになった。今日はその違和感の解消を目指してずっと制作に取り組んでいた。

この違和感の正体は何か。創作の中では様々な違和感と遭遇するが、今回の違和感は物語がどこに向かっているのか分かりにくいというものだった。そこで自分はストーリーの根幹部についてざっとメモに書き出してみた。

第四章の根幹となる部分は、ある重要なキーアイテムを巡って様々な勢力の思惑が交錯するというものだ。

自分がまず考えたのは、各々の勢力の行動原理が何であって、そのためにどのようなアプローチを取るのかということだ。このことをはっきりさせたかったのは、これまで自分は様々な勢力の衝突というシーンを雰囲気だけを描いていて、各々がなぜその行動を選んだのかという理由をはっきりしてこなかったからだ。これが物語の方向性を分かりにくくしていた。それで各々の行動原理をはっきりさせ、行動に必然性を持たせることにした。

つぎにそのキーアイテムの背景を深く考えることにした。主人公が来る前にそれはどこにありどういう扱いを受けてきたのか。主人公が来てからはどうなったのか。またそれは今後どのように扱われていくのか。主人公や他の勢力ではなく、このキーアイテムを中心とした展開の流れをまとめてみた。すると自分が今作っているシーンは時間的にはどの位置に属し、どのような扱いを受けることが整合性に繋がるか、ということが分かってくる。

そしてこれらを参考に、今この時このキャラクターはどうすることが妥当であるかを考えた。主人公と対立することか。協力することか。泳がせて様子を見ることだろうか。それとも極力かかわらないことか。自分の好みではなく、行動原理と比較してそれを判断する。そして一度その方針を決めたら勝手に動かさない。

それができて初めてセリフの面白さみたいなものが考えられる。自分は誤解していたが、セリフの面白さだけではストーリーは成立しないし、今回のような違和感は解消されない。物語のバックボーンを明確にして、各々の勢力がどうアプローチしていくのかをはっきりさせなければ、セリフの面白さは単に物語とは独立したものとなる。セリフは面白いのにストーリーがつまらないみたいなズレが違和感となって、話が微妙なものになっていく。

別に傑作を作ろうというわけではないからそこまで緻密である必要はないが、ある程度は自分で方針を定め、あるべき展開をいつでも自覚できるようにしたい。根底をおろそかにすると違和感は再び現れてくる。