人生

やっていきましょう

66日目

すべての習慣を放棄して昔のゲームを遊びつくした。特にストレスがあった訳ではなく、純粋に昔のゲームにハマったからだ。作品の名前は『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』。シリーズ4作目のゲームだ。

このゲームは考古学に精通したトレジャーハンター、ネイサン・ドレイクが世界の財宝を手に入れようとして毎回ゴロツキ共と派手な対立をするというどこかで聞いたような話だが、映画ではなくゲームなのでその過激さは数倍に上がり銃撃戦や爆破物は当然のこと超人的なパルクールで人が到底至れない崖を難なく登ったり古代遺跡を跡形もなく破壊するなど色々とやりたい放題な作品である。

自分はそうした危険なゲームを更に危険なものにしようとしていくつかの縛りを設けていた。その縛りは以下の通りだ。

 

・プロ難易度(5段階中最高難易度)

素手縛り(銃、手榴弾による殺傷の禁止)

・完全ステルス(見つかったらやり直し)

・戦闘シーンのコンティニュー禁止

 

この途方も無い縛りプレイを自分は数年前から何十時間もかけて着々と続けてきた。そもそもこのゲームは素手のみで戦ったりメタルギアのように隠れたりノーコンティニューすることを前提として設計されていないので、非常に困難なプレーとなった。まず最高難易度であるため至近距離で2.3秒銃撃を受けたら死ぬ。次に素手のみで倒せない敵がいる(その敵はショットガンを持っている。2発受けたら死ぬ)。また戦闘シーンは敵を倒しながら前に進むため、一度やられてしまうと途中のチェックポイントから復活してしまう。

自分はこのプレーを一度投げ出した。今まで何時間かかければクリアできたステージも物語が進むにつれ難易度が増し、ついにチャプター10「十二の塔」の跳ね橋のある要塞で詰んだ。普通にプレーしていれば数分で終わる程度の場所だが、プロ難易度で完全ステルスを目指すにあたっては難易度が跳ね上がった。

このゲームの敵は通常体制の場合は規則的な動きをするのだが、敵の死体を見つけた場合警戒体制に移行し完全に不規則な動きをする。警戒体制になると敵は周囲を徘徊し始めその動きはまったく予想がつかない。なので草むらの中で首を絞めたり崖から突き落とすことで死体を隠すしかないのだが、どうしても隠せない敵がいる。更に一度警戒体制になると敵を全滅させるまで警戒体制を解くことがない。

加えてプロ難易度であるため敵の視界が異常に広い。万が一敵の視界に入ったら1秒以内に身を隠さないと見つかってしまう。この視界は広さに加えて高さもある。その広範囲にわたる視界が警戒体制では不規則に移動する。そしてその敵は複数ある。

2年ほど前に馬鹿らしくなって古いダンボールにぶち込んだ。あまりに難しかったからだ。もう辞めると決意して投げ出して以来ゲームの存在は記憶の彼方に消えており、先日に至るまでそのそうしたものがあったことさえ忘れていた。しかし最近偶然それを見つけ再び闘争心を燃やすことになった。もはやTOEICだとか習慣は完全に頭から消え去り、ただゲームをするだけのニートに成り果てた。6時間バカみたいに遊び続けた。しかしそれでもクリアできなかった。人生とは何だろうと考えた。