人生

やっていきましょう

いつから自分は賢く物分かりの良い人間を演じるようになったのか。実際の自分の能力はそこまで優れているわけでもなく、悪い方に近い人間だ。誤解も多く、分からないことが沢山ある。

自分の正体は背伸びした無能であることは百も承知をしているが、他人はそうとは取らない。自分のフリを事実と受け止める。ますます後に引き下がれなくなる。

キャラに束縛されて本来の自分を出せていない。別にこんなことは今すぐにでもやめればいいのだが、自分が長年築き上げてきた「誠実さ」のイメージを崩した先のことを考えると恐ろしくなる。

なぜなら自分は、自分の存在意義を誠実さの実践に置いていたからだ。自分がいかに価値のない人間で他人に迷惑をかけるだけの存在であったとしても、誠実さを希求しそれを実践する限りにおいて、自分は他者の前に存在することを赦されている。どこかでそう思っている。

この考え方はいかにも弱者の発想だと思う。自分は自分の手で何かを掴み取ろうとしていない。その勇気がなく、しかし自分は悪くない、自分は何も間違っていないと思いたい人間がこうした発想に行き着く。誠実さが自分を誤魔化す言い訳になっている。

最近この物分かりの良さで感謝されることが多い。ますます融通がきかなくなっている。